さて、特養の寮母さんたちは、ハンドクリームを口に入れるのを止められてから落ちつかなくなったNさんに、どういうアプローチをしただろうか?
彼女らはいろいろと話し合った結果、昼間、職員を1人、マンツーマンでNさんに付けることにした。
なるべくNさんと気の合いそうな人を日毎に選び、他の仕事からはとりあえず外して、Nさん専任になるのです。
これは、じつは大変なことです。
なにしろ、老人ホームの寮母の数は本当に少ない。
東京や横浜だと何人か割り増しがプラスされるが、地方の定員50人の老人ホームだと、せいぜい12~13人です。
そのうち夜勤者2人と夜勤明け2人を除き、休みの人を差し引くと、昼間の寮母は、多い日で6人、少ないと4人、平均5人しかいないことになる。
そのうちの1人を、入浴やオムツ交換から外そうというのだから、無茶な話だと言ってもいい。
でも、この老人ホームではやってみたという。
他に方法がないので、やむなくやったのだという。